あじさい~揺れる想い~


とりあえず話をしたくて、私は渡辺くんと近くの公園へと向かった。


「・・・・・・別れたの」



二人でベンチに座り、子供達が遊んでいるのを見つめながら、私は口を開いた。


もう3回目だったが、それ以外に何と言えばいいのかわからなくて、そうとしか言うことができなかった。



「それ、聞いた・・・・・・」



静かに言う渡辺くんは、私の横顔を見つめていた。



その視線がとても優しいことは、彼の顔を見なくてもわかった。



「・・・・・・渡辺くんの言う通り、義理で付き合うのはよくないって・・・・・・というより、好きな人がいるのに、いつまでも付き合うのは浩平を裏切り続けることだって・・・・・・」



私は彼の顔が見ることが出来ず、組んだ手ばかりを見ていた。



「手塚さん・・・・・・それ・・・・・・好きな人って・・・・・・俺?」



かなり躊躇しながらも、きちんと聞きたいことを聞いてくる彼の顔を見ると、真っ赤になっていた。




「・・・・・・さぁね」




私は、その真っ赤な顔を見ていると、もっと真っ赤にさせたくて、わざと答えをはぐらかせた。



「・・・・・・さぁねって、この流れでは、『私、渡辺くんのことがずっと好きでした』でしょ」



胸の前で手を組み、私を見つめながら、甘えた声で言う渡辺くんを見ていると、笑いが止まらなくなって来た。




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