・約束
「私、就職してからあんまりテレビとか見れてなかったから
 大木さんが活躍してるのも知らなくて…」



「…春夏」
雅也の声が私を呼ぶ…あの頃とは少し違う、ちょっと低い声だ。


「すっかり有名人ですね。女の子にも大人気で、今日だって
 あなた見たさに…」


「春夏。 ごめん。…オレ…」
言いかけた雅也の言葉を遮った。

「本当に、久しぶりに会えて嬉しかった。
 私、あなたと美央さんの為にも素敵な商品CM作るから」


…私、何言ってんだろ。話したい事は、こんな事じゃないはずなのに。





『コンコン』

「…すいません。スケジュールが詰まってまして。そろそろよろしいでしょうか?」
マネージャーさんに声をかけられる。



「…あ、はい。では、よろしくお願いいたします」
私は慌てて挨拶だけ済ませた。


「雅也、行こう」

「…あぁ。…ちょっと待って坪井さん」

雅也は、資料の隅に連絡先を書き込んだ。

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