Jewel Memory*2つ年下
* * *
─── 音は聞こえない。
ひたすら真っ白が広がる世界。
あたしは走る。
誰かに手を引かれて。
繋がれた手しか見えないんだ。
あなたは誰?
心の中で問いかけても答えはなくて。
あなたは、どうして手を引っ張っていくの?
どうして、あたしの手を握っているの?
あたしは、ひたすら走った。
その繋がれた手の先にいる男の子に、導かれるように。
不思議と安心したの。
誰かも分からないのにね。
あなたと繋いだ手の温もりが、あたしを満たしていく。
ずっとこうして、離れたくない。
強く願った。
* * *
「の──きの…由紀乃っ」
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