お金より体力が大事?
祐司は優樹菜である小花にとても興味をもったのか、作家の話や好きな本の話。
小さな子ども時代の大冒険だった話などたくさん会話をしていた。


「どうやら、兄貴は小花さんが気に入ったみたいだ。
明日の婚活パーティーを見なくてもわかっちゃうなぁ。」


「そうですね。いい雰囲気です・・・。でも・・・。」


「でも?」


「小花は憧れの人がいて、しかもその人は小花が好きなんです。
だけど、小花は憧れと恋愛は違うと思ってるみたいで。」


「へぇ、憧れと恋愛・・・。でも憧れた相手が小花ちゃんを好きだと思っているなら、小花ちゃんにとってはうれしいことなんじゃないの?」


「それが・・・小花の中では憧れは紙の上出来事なんです。
だから、彼女が自分で拒絶してしまって。」


「なんか憧れの人を受け入れられない過去でもあるの?」


「小花は大学の入学式のときに両親と兄を事故で亡くしてしまったんです。
小花は朝から微熱があって薬を飲んで寝てたんです。

親戚の家で結婚式があって、そこへ行く途中だったそうです。
自分にとって大切だと思う人たちが、1日でいなくなってしまった。

その後も、姉が1人いますが若くして結婚して夫が海外に転勤になって行ってしまいましたから、小花はしばらく親戚の家にいました。
そのときに、いくつか大切なものも取られてなくなったらしいんです。」


「それじゃ・・・兄貴は・・・そうか。
今夜、それとなく俺から兄には話しておくよ。」


「すみません。」



翌日、予定通りに婚活パーティーが行なわれた。

小花たちは見学だけするつもりで、話しかけてくる人には取材感覚で話をきいていた。



「婚活パーティーってやっぱり真剣なものね。
とくに過疎地域の男性の熱意ってすごいものがあるわ。」


「小花、そういうネタはまだ年齢的に早い気がするけどぉ。」


「あはは、そうかなぁ。」


「早いね。君はもっと夢のある恋愛を取材するべきだね。」


「あっ、祐司さん、こんにちは。」
あれ?弟さんは?」


「ああ、達哉はほら・・・あそこに。」


小花と佑子が見た方向には女性に囲まれた達哉が動けなくなっているのが見えた。


「すごい人気ですね。」


「芸能人みたい。まぁ、あのルックスとファッションだったら仕方ないのかもね。
あれ?でも祐司さんだって、女性に囲まれそうなのに・・・?」


「僕はね、さっきまでビジネス用のメガネをかけていました。
怖そうに見えたのか、ひいてくれるからね。」


「ええっ、どうしてそんなこと?
たくさんの女性と話すのが目的でしょ?」


「いや、僕は小花さんともっと話したいからね。」


「ええっ。私と・・・ですか?」
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