お金より体力が大事?
華やかな交流関係で・・・と思っていた幸鷹が地味で古風だって飽きられていたなんて・・・。


自分のスクラップブックにもない情報だった。


コンコン


「はぁい!」


「かなり姉としゃべっていたようだね。
子どもたちも寝てくれたからちょっとね・・・。」



「あの・・・私、幸鷹さんのこと、少し誤解してたみたい。」


「今頃気付いたの?なんてな。
俺はほんというと、まだ自信がない。

君が若いから積極的な大人を演じてた。
でも、ことごとく、考えさせられてばかりだ。
まるで凄腕のキャリアウーマンみたいにバリバリ働いては稼いでしまうんだから。」



「かなりさびしく思ったな。」


「ごめんなさい。
私にとって憧れの人に家事させるなんてできなかったし、きっと私のことは気持ちの悪いオタクっ子だと思われてると。」


「あははははは。予想通りの答えを返してくれるんだ。
俺は小花がオタクっ子でも気にしないよ。
スクラップブックや日記帳を見てしまったからね。

すごくはずかしくて、うれしかったよ。
こんなに愛してくれてる人がいたんだって思っただけで、もうどんな仕打ちされようが、どんな言葉を聞こうがどうでもよかった。

感謝してたことももちろんだけど、どんなに思いなおそうとしてもだめなんだ。
そばにいたいし、いっしょに話していたい。」


「私と?変な人。」


「俺にとってのベストセラーは小花そのものなんだ。
小花は俺の思うとおりなんかにはぜんぜんならない。

だけど、過去の交際歴のある女の子たちと比べれば、自分で決めて進んでいくけれど俺のことは忘れてない。だろ?」



「ええ。もうそんな話は・・・」



「嫌だ。最後まできいてほしい。
俺の判断は間違ってなかった。
学校とか仕事とか何とでもなる。

俺と結婚してくれないか?
俺のことはぜんぜん気にしなくていいし、学校も通えばいいし仕事もほどほどにすればいい。

だけど・・・俺・・・。」


「えっ・・!?」


「いけないとわかってはいるけど・・・話していてとても楽しいけど・・・俺は今すごく小花がほしい。」



そう言い終えた幸鷹は小花に激しく唇を奪っていた。

そして、小花の部屋のベッドの周りで小さな声があがっていく。


「こんなことしても嫌わないでくれる?」


「嫌えないことをわかってて、そんなことを言ってるくせに。」


「うん・・・そうだけど。
もう何も言わずにいなくなってほしくないから。
俺はもう、君から離れられない。」


「私・・・親もいないし、赤ちゃんができたらって思うとすごく怖いの。」


「大丈夫だ、だからベテランの姉さんを会わせた。
俺よりも強くて頼りになるだろ?」



「ええ。とっても頼りにしちゃう。」
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