泣き虫王子と哀願少女
―― そっか。友達か……。好きじゃなかったんだ……!
途端に先程までのモヤモヤが嘘のように晴れ心が軽くなった。
「なんか変なこと聞いてごめ……」
「危ないっ!」
ホッとしたのもつかの間、突如私の言葉を遮るように、どこからか悲鳴に近い声が聞こえてきた。
「えっ?」
何事かと前方に目をやる私とリカちゃん。
だがしかし、時既に遅く、潤君が打ったファールボールが私達の目の前に迫っていたのだった。