アキと私〜茜色の約束〜
『秋人』
俺が写真屋を見つめたまま固まっていると、突然親父の声がしてハッと我に返った。
おばさんは、親父の姿を確認すると、『あ…またね』と慌てて店の奥に戻る。
『おじさん…』
アキが気まずそうに口を開く。
親父は、今の会話を聞いていなかったようで、『どうした?』とアキに笑顔を向けた。
『なぁ、親父。嘘、だよな?』
『嘘?』
『母さんが不倫してたなんて、何かの冗談、だよな…?』
そうだ、何かの冗談に決まってる。
母さんは親父を愛してた。
二人は仲の良い自慢の両親で、不倫なんて有り得ない。
だけど、なかなか返事をしない親父に恐る恐る目をやる。
親父は、驚いたと言わんばかりに目を見開き、俺と目が合うと視線を彷徨わせた。
『なあ、親父。何か言ってくれよ…』