アキと私〜茜色の約束〜
声が震える。
それでも何も言わない親父の態度が、答えを表していて。
俺は下唇をギュッと噛み締めた。
『これが、大人の事情かよ』
そう言って、俺は走り出した。
後ろからアキが『秋人‼︎』と叫んだのがわかった。
でも、俺は振り返ることなく、無我夢中で走った。
『ハァハァ、ハァ』
気が付くと土手に来ていて、この前茜と菓子を食べたあの場所で寝転がり、息を整える。
何か考え事をしたい時も、何も考えたくない時もここに来る。
ここは俺の癒しの場所で。
特に夕方、全てが茜色に染まるこの時間帯が好きだ。
母さんの最後の言葉を思い出す。
『どちらを選んでも、秋人が私達の大事な子供には変わりはないんだから』
『お母さんは遠くにいても秋人の味方よ?世界で一番、愛してる』