アキと私〜茜色の約束〜

ーーーーーーーーーー・・・

ジリジリジーン!

目覚まし時計の無機質な音で目が覚める。
寝癖でボサボサになった髪の毛を掻き上げると、窓の外に目を向けた。


「またあの夢、か…」


定期的に夢で見る幼き頃の記憶。
確か、私が小学一年生の春だった。

デパートで貰った風船を持ってアキが遊ぶ噴水公園に行くと、不注意で紐を放してしまい風船が大きな木に引っかかった。

私は何の迷いもなく木を登り風船を取ったはいいものの、いざ降りようと下を見ると予想以上の高さに怖くなってしまった。

助けを呼ぶ私の声を聞きつけて来てくれた男の子は、私を安心させるように手を握り締めてくれて。

その手が凄く暖かかったのを覚えてる。

私達はゆっくりと降り始めた。
あんなに怖かったのに、男の子と一緒だと不思議と恐怖心はなくて。

油断した瞬間、私は足を滑らせた。



< 2 / 212 >

この作品をシェア

pagetop