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すぐにコウくんが車で迎えに来た。



「コウくん、俺何であんな騒がれてんの?意味わかんねー」

「は?」

「いやだって、普通写真集出しただけじゃあんな騒がれ方しないだろ?」

「お前、ワイドショー見たんじゃないのかよ?」

「イイとこで雪ちゃんから電話かかってきたから見逃した」



俺がそう言うと、コウくんは大きなため息をついた。



その顔は、説明するのが面倒だとアリアリと物語っている。



コウくんの無関心、無気力、面倒くさがりな性格は、よほどの事がない限り変わらないらしい。



「あとで雪ちゃんに聞くからイイ」

「そうしてくれ。……もう着くぞ」

「はーい。あ、なこ寝てる」



可愛い寝顔。



夜はまだ恐怖心に駆られて、よく寝付けないらしい。



毎日日が昇る頃に眠りにつく。



俺は仕事柄そういう生活に慣れてっけど、なこは成長期。



睡眠は欠かせない。



眠れるときに寝させてやりたいと思う。



「お前…もしかして抱えて行く気?」

「うん。起こすのかわいそう」

「淳…変わったな」



まぁね。



全部なこのおかげ。



昔の俺なら放っておくところだ。



誰かを心配したり、大切に思ったり…。



そんな感情に欠けていたからなぁ。



「行くか…」

「うん…一つ聞いてもいい?」

「何だ?」

「何か肩に違和感……」

「ヨダレ」



マジかよ……。



なこぉ〜…。



「じゅ…ん……」

「寝言か」



可愛いから許す。



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