天国への切符




お母さんが亡くなってからは、ただ慌ただしい時間が過ぎていった。



病院、役所、警察、葬儀会社。


事故だったから、いろんな問題もあった。


お父さんは会社に一週間休みをもらい、そのいろんな対応に追われていた。



人が死んでもしばらくは、悲しむ時間なんてない。


いつかどこかでそんな言葉を聞いたことがあるような気がするけど…それは本当にそうなんだと思った。


悲しむ余裕なんてなくて。


お通夜にお葬式。

亡くなってすぐにそんなことで時間に追われる。


悲しむ時間がないんだ。


それくらい、いろんなことが待っていた。


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