天国への切符



みんなとは何の解決もしないまま、お母さんのことがあって休んでいたけど。


あたしが休んでいた間に、サエたちは何か変わったんだろうか。

それとも、何も変わらないままなのかな。



携帯をカバンにしまったあたしは、鏡の前に立って自分の姿を見つめた。



今日からまた学校に通う毎日が始まる。


今日からまた、あたしは以前のような生活が始まる。



でも、どんな風に以前の日常に戻るんだろう。


一階に降りると、シーンと静まり返っていたリビング。


お父さんはもう出勤していて、ダイニングテーブルの上にはお世辞にも綺麗だとは言えない三角のようなおにぎりが二つ、ポツンと並んでいた。


それから小さなメモ用紙と千円札が一枚。寂しそうにそこに置かれている。



真優へ
おはよう、おにぎりでごめんな。
お昼はこれで食べてくれ。


メモに書かれていた文字を見て、胸がキュッと痛んだ。


お父さんにお弁当を作ってほしいなんて思っていたわけじゃない。


だけど、もうお母さんのお弁当も朝ごはんも食べられなくなっちゃったんだなって…

改めて思い知らされたみたいで、ただ悲しかった。


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