天国への切符



とても静かな空間で。

ひとりきりでおにぎりを食べた。


こんなにも。こんなにもこの家は静かになったのかと感じた。


お母さんがいて、おばあちゃんがいて。

それだけで、あんなにも賑やかだったんだと。


いなくなって初めて感じた。


何かと話しかけてくる声も。

聞いてもいないのに勝手に喋って笑っていた声も。


今はもう、聞こえない。


笑い声も話し声も、何の声も音も。


今はもう…何もなくなってしまった。



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