天国への切符



息を切らしながら、夢中で追いかけた。


階段を登っていくサエに、ただただ必死でついていった。



「もう…ウンザリなんだよ!」



たどり着いた屋上。

サエの声が悲しく響く。




「何が?何がウンザリなの?」



あたしはすぐに言葉を返した。


その時、バタバタと後ろから聞こえてきた足音。

振り返ると、そこには聖子とノアと美波がいた。




「全部…もう全部嫌!友達なんていらない……私がいなくなったら…あんた達は前のあんた達に戻れるんだよ」



屋上を囲むように立つ金網のフェンス。


そこに手をかけたサエはあたし達を見ながらそう言った。


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