天国への切符



ギュッと抱きしめていたサエの体。


ゆっくりと離れ、サエの顔を見るとあの時の頬の傷跡が目に止まった。


それからふと見えた、首筋の引っ掻き傷。


きっと、目に見えているところだけじゃない。


美波が言ってた。

肩や腕にもアザがあったこと。






「…サエ…あたし達が守るから。だから…何があったのか話してくれないかな」


「…うるさいっ……」


「お願い…っ…ひとりで苦しまないでよ…」



もう一度、サエを強く抱きしめた。



「……っ…」



泣いているサエを、強く強く…抱きしめた。


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