天国への切符



「お願いサエ……あたしを、あたし達を信じて欲しい」



信じるとか、友達とか。

何が正しくて何が間違っているのかは分からない。


だけどあたしは、サエのことを信じたかった。


サエにも信じてほしいと思った。


信じて…抱えているものを少しでもいいからあたし達に話して欲しいと思った。




「美波から聞いたの……サエの新しいお父さんの話」



人の家庭の事情や在り方に、踏み込んでいいと思ってるわけじゃない。


いろんな人がいて、いろんな生き方があって、いろんな毎日があるのは分かってる。


でも、踏み込まなきゃいけない時がある。


それが今だと思った。



春に出会った頃のサエと、今のサエは違う。


夏を迎える前、美波とのことがあったあたりから、どんどんサエは変わっていってた。



「サエ…話してよ」


ひとりで抱えるものも、誰かに分ければ
少しくらいは軽くなる。


「信じてよ…お願いだから」



泣きながら肩を震わせるサエを、強く強く抱きしめた。


そしたらサエが、ゆっくりとあたしの背中に手を回したんだ。


そしてその手は…力強く、あたしをギュッと抱きしめてくれた。


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