天国への切符
「……どこにも…っ…居場所がないよっ…」
泣きながらサエは言った。
「家にもない……っ…学校にも……もうどこにも居場所が…なくなっちゃっ…」
泣きながら、あたしを抱きしめた。
「そんなことないよ…サエの居場所はある」
「…っ…」
「あたし達がいる」
「……んっ……私に…真優達といる資格なんてないよっ…」
「何言ってんの…勝手に決めないでよ」
あたしがそう言うと、サエは黙りこんだ。
だけど、次々に聞こえてきたんだ。
「そうだよ、資格とかそんなもん最初っからないし」
聖子の声。
「家に居場所がなくても私達がサエの居場所になるじゃん」
ノアの声。
「ひとりじゃないんだよ、サエは」
美波の声。
ずっと上辺だけで笑い合っていたあたし達だった。
毎日一緒にいたけど、ずいぶんと今日まで遠回りをした。
だけどもう、大丈夫な気がした。
あたし達は、友達なんだと今初めて心から感じたんだ。