天国への切符



「……どこにも…っ…居場所がないよっ…」



泣きながらサエは言った。



「家にもない……っ…学校にも……もうどこにも居場所が…なくなっちゃっ…」



泣きながら、あたしを抱きしめた。



「そんなことないよ…サエの居場所はある」


「…っ…」


「あたし達がいる」


「……んっ……私に…真優達といる資格なんてないよっ…」


「何言ってんの…勝手に決めないでよ」



あたしがそう言うと、サエは黙りこんだ。


だけど、次々に聞こえてきたんだ。



「そうだよ、資格とかそんなもん最初っからないし」


聖子の声。



「家に居場所がなくても私達がサエの居場所になるじゃん」


ノアの声。


「ひとりじゃないんだよ、サエは」


美波の声。




ずっと上辺だけで笑い合っていたあたし達だった。


毎日一緒にいたけど、ずいぶんと今日まで遠回りをした。


だけどもう、大丈夫な気がした。


あたし達は、友達なんだと今初めて心から感じたんだ。


< 270 / 363 >

この作品をシェア

pagetop