豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「あれ、もしかして孝志、ミツに未練あるの?」
滝川が驚いたような声を出した。


「いや……」
孝志は笑ってごまかした。


「佐田さんは、俺にミツさん取られて口惜しいだけです、きっと」
輝が自信満々に言った。


「お前、まだ取ってねーだろ」
「若いとポジティブでストレートだなあ」
皆が口々に輝をからかった。


「強引にキスぐらいしちゃえよ」
わいわいとはやし立てる中、輝が勝ち誇ったように孝志を見た。


「もう、キスはしました」


わあっと稽古場が盛り上がる。


「強引にじゃあ、ありません」


「すげー、なんだ、意外とうまくいってんじゃん」
「ミツ、年下男に捕まったな」
「割と似合ってるかもなあ、頑張れよ」


孝志はペットボトルから水を一口飲んだ。


アイツ、コロス。


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