消える前に……
あの日と同じ時間に
駅に着いた。
そして、
あの日と同じホームのベンチに
腰を下ろす。
そこから見える景色は
少しだけ変わっていた。
変わらない物なんて
一つもない世界に、
一人だけ変わらない自分。
何だか変に思えた。
空を眺めて、
綾が来るのを待つ。
空に浮かぶ大きな雲は、
ふわふわとしていて
とてもやわらかそうだった。
綿菓子のように甘そうで、
病院で見た白とは違う
俺の好きな白。
俺のまわりには、
楽しいことがいっぱいだった。
幸せなことがいっぱいだった。