13年目のやさしい願い
エピローグ


5月。

真夏にも匹敵する日差しの中、オレとハルは新緑のキレイな公園を歩いていた。

日差しは強いけど気温はそれほどでもなく、時折吹き抜ける風が心地よい。



「やっと来れたな」

「うん」



ハルがオレの隣で嬉しそうに笑った。



目的地は、公園の向こうにあるプラネタリウム。

念願だったハルとのデートに、オレの心はひたすら浮かれていた。



「時間、大丈夫?」

「ああ。まだ十分あるよ」



事前予約で席は確保してある。

実は、このプラネタリウム、ハルの母さんのお勧めで決まった。

先日のおじさんとのデートで来たらしい。



「疲れた大人にはピッタリよ」



って、オレたち、別に疲れた大人じゃないけど、と思わず笑った。

でも、歩かなきゃいけない動物園や水族館、集中して見なきゃいけない映画なんかより、ゆったりとしたイスで夜空を見上げる方がハルには向いている気がして、悩んだ末にここを選んだ。

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