サボテンとみつばち
どっかで見たことあるような…(絢)
心ちゃん…か。カワイイ名前だな。
それより、あれって天然?『今日からお世話になります!!』なんて。それとも、わざと好かれようとしてんの?
でも、俺が男だって思ってないんだろうからあり得ないか。

元はと言えば、萌未ちゃんが俺のこと誤解しちゃったのが原因なんだけど。

ある日、俺の携帯のタイムラインに一本の通達が来た。

~家を貸してくれる人を探しています。心当たりがある人は…。~

なんだコレ…家?人助けになるのかな…。
そして俺は、その人に連絡を入れた。
待ち合わせ場所には女装をして向かうことにした。
だって、女の子の声だったし、すぐ俺の女装なら気づかれるだろうしな。
そんな興味本意だったんだけど…。

「あの、家を貸してくれる人ってあなたですか?」
「え?あ、はい。」
お、意外とカワイイ子じゃん。この子だったんだ~。
俺が自己紹介をしようとしたそのとき、その子は思いがけない事を口にした。

「コレ、あやさんって読むんですね!!」
「え?」
「私、友達に依頼されてきたんです飛野萌美です。」

俺…男なんですけど…。このまま女として誰かと暮らすことになるってことか、ついてねぇ…。

そんな落ち込んでいる俺をスルーして、萌美って子は話を始めた。

「実は私の友達は桐村心っていう女性で、私と同じ17歳なんです。」
「え?じゃぁ、高校は?」
「ちょっとそれは、言えないです。一緒に住むようになってから本人が話す気になったら聞いてください。」
「あぁ、ごめんなさい。」

まぁこんなことがあって心ちゃんと会うことになったんだけど…。
その心って子はショートヘアにつり目のアイラインをいれた感じ悪い女の子だった。

でも俺が優しく話しかけた途端、あーだったからさすがに驚いた。笑みを浮かべると、アイラインの意味がなくなっていた。

それより、どっかで見たことある顔だな…。誰だっけ…まぁそのうち思い出すか。
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