依存症人生1
中3 秀樹の場合
私が中3の時、姉はとっくにグレていて、夜の仕事で
母が家にいないせいもあり、我が家は不良のたまり場だった。

たまたま入った、姉の部屋で、見慣れない男の子に目がいった。
カッコいいのに冷めた目・・・何か様子がおかしかった。

缶を口元に置いたまま、吸ったり吐いたり。
シンナー?

気付いた私は、彼のもとへ行き、缶を取り上げた。
「ダメだよ、こんなことしたら。」

後で思えば、話しかけるきっかけが欲しかっただけかも。
一目ぼれなんて大げさなものじゃないけど・・・フィーリング?

なんか、とても彼のことが気になった。

数人いる、そのたまり場で、彼は冷めた目つきのまま、いきなり
私を抱き寄せ・・・キスをした。

時間が止まったように思えた。
ファーストキスはまさかのシンナー味。

気になった男の子にキスされて、ますます気になりだしたのは
言うまでもない。

また、来ないかな。

携帯なんかない時代、次に会ったのは一か月後だった。
やっと、お姉ちゃんたちが呼んでくれたのだ。

付き合うのは早かった。向こうも私を気に入ってたと、言ってくれたから。

初めてまともに付き合った彼氏。
それが1個年上の秀樹。

親がいない夜、毎日のように会いに来てくれた。
それから、結ばれるまで時間は、かからなかった。

お互い、初めてだった。
どんどんのめり込んで・・信じ込んで…
怖いくらい、幸せだった。

とにかく一緒に居たくて・・・
とうとう、家を飛び出した。
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