あと、11分
「───シキ、は」
夕雨が、最後の力を振り絞るかのように言う。
「───シキの記憶は……っ、」
そこまで言いかけた、その時。
何かに憑りつかれたみたいに夕雨の体が───ゆらりと、ぐらついて足の力が抜けてしまったみたいに、ゆっくりと倒れこむ。
俺は反射的に夕雨の体を抱きとめた。
「夕雨?おい、大丈夫か、夕雨!?」
何度も揺らして、真っ青だった彼女の顔にだんだんと赤みが戻っていく。ほっとして、肩を撫でおろした。