木曜日の放送室
いつもの木曜日
3年になったばかりの4月、
私は給食を持って階段を下りる。
2階の目立たない場所にある重い扉を開けると、シンとした空間が表れる。

「あれ...早すぎた?」

ボソッと呟いた。
まだ、誰も来てないみたいだ。
薄暗く、せまい、室内に電気をつける。
部屋のはじに、うまいこと並べられた2つの机に、持ってきた給食を置き、時間を確認する。
壁に埋め込まれたデジタル時計には、12:43としるされていた。

「(やっぱり...)」

集合は、45分である。
時計が、43分から、44分に切り替わるとき、重い扉が開いた。
開くとともに、少しすずしい風が入ってくる。

「あれ、今日は早いね」
と言いながら、ほんの少し驚きぎみの表情を見せ、給食をもって入ってきたのは、私と同じ3年の幹谷光だった。

「今日は、給食の準備まかせてきたからね~。でも、幹谷君より早いとは思わなかったよ~w」
「俺もそれ思ったw」
「幹谷君は、いつも給食の準備サボってるもんね~w」
「だってめんどいし...」
「うんw」

なんてしゃべっているうちに45分である。

「あ、もう45分だよ」
「おっ、じゃあ始めっか~」

幹谷君が、小さな部屋にそなえつけてある機械をいじり、オープニングの曲を流す。
私がマイクを持ち、声を発する。

『みなさんこんにちは!、お昼の放送の時間です!今日の給食のメニューは...』

シナリオ通りに、マイクにセリフを吹きこんでいく。
今日は3年になって最初の放送当番の日で、私もはりきっていた。
私と幹谷君は、放送委員だ。二年の後半から、月曜日と木曜日の放送を担当している。
3年の新しい委員会が決まるまで、放送委員は、仕事をしなければいけない。
私は、この仕事が好きだから、嬉しい。

「そういえば、2年生は?」
「修学旅行だろ?」
「あぁ、そっか。そういえば朝、バスが来てたねw1人でしゃべるの大変なんだけどなぁ~」
「まぁ頑張れ!」
「うんw」

給食中に流している音楽が響き渡る放送室で、適当に駄弁りながら給食を食べる。
ふと、気になったことを聞いてみた。

「幹谷君は次の委員会、何にはいる?」
「ん?う~ん。どうしよ。また放送委員会にすっかなぁ~」
伸びをしながら幹谷君は、答えた。
「ふ~ん。そっか~」
「そっちは?」
「私は、放送委員だよ!当然!ていうか他に入るとこないでしょ」
「まぁなw声きれいだもんなw」
え...マジで!?
「それは、な「あ、曲終わる...」ほんとだ。...」

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