箱の中の苺/S
『華:レイ 起きてる?ごめん 少し遅れた』
『レイ:何してた』
『華:バイトが長引いた』
『レイ:ホントに?』
『華:……なに? 仕方ないでしょ』
疑ってるとか、そういうことじゃなかった。
僕は、華とのこの時間のためにバイトの時間を夜から朝型に変えた。
少しの時間のズレも勿体無いと思ったから。
でも、華にとっては違うのか。
僕との時間は、削られたところでたいして困ることもないような、そんな程度のことなのか。
こんな気持ちなのは僕だけ?
少し腹立たしくなって、
無言を続けた。