箱の中の苺/S
そんなこと分かってる。
分かってるけど気になるんだ。
僕といない時の華を、知ってる奴らがいる。
華の声とか笑顔とか、
仕草とか香りとか。
それは、僕の想像しているものと違うかもしれないのに
僕が脳内で造り出した華を、誰かに奪われていくようで。
どうしようもないくらい
落ち着かない。
『レイ:もうこんなことやめようか』
賭けのつもりだったのだろうか。
自分の指が勝手に動いた。
本当に打ちたかった文字は、別にあったはずなのに。