箱の中の苺/S
華の返事がくるまでにどれくらいあったのか。
期待することを抑えたいのに、次の返事を打とうとしている僕がいる。
華に嫌だと言われたら僕は……。
緊張の中で、
ヘッドフォンを耳から外す。
外の世界のあらゆる音が
一気に入ってきた。
星の会話さえ、耳障り。
ガンッ!
僕はヘッドフォンをキーボードに叩き付けた。
それからハードが置かれた棚を思いっきり蹴りあげた。
部屋の中に嫌な電気音が響く。
ビーーーーーー……
「うるせぇんだよっ!」
床に転がったハードは、何度蹴っても音は止まらず、ただ一定に音を鳴らし続けていた。
殴っても殴っても、その雑音を止めようとはしない。
それなのに、ディスプレイの文字は煌々と照らし出されている。
『華:いいよ』