ハートの形した花
あの頃




「お待ちしてました。どうぞ、中へ」




相生のお母さんと初めて会った。




相生のお母さんに勧められ、俺たちは相生の家へお邪魔する。
俺はというと・・・




「京ちゃん、さあ、早く入りなさい」
母さんがそう促すが、入りにくい。
そりゃそうだ。
あの相生の家だから・・・




一度、振られている人の家に入るなんて、まして、母さんの居る前で・・・無理だ。




けど、ここまで来ておいて、入らないなんて失礼だ。
渋々入る事にする。




噂には聞いていたけど、かなり高そうな家具が並ぶ、お金持ちだった。




そして、ソファーのところで相生が座っていた。




「どうしたのお母さん、お客さん?」




相生がそう言って振り返った瞬間、俺と目が合う。
久しぶりにこの距離で相生の顔を見た気がする。




「あ、京介くん!?」




相生は目を丸くした。




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