極彩色のクオーレ
「キャウンッ!」
見事命中。
獣は打たれた球のごとく弾かれ、木の幹に顔面をぶつけた。
そのまま失神し、地に倒れ伏す。
「なんですか、こいつ」
棍棒を杖のようについて、少年は獣の体毛を触ってみた。
後ろで静かになっている獣のそれよりは硬い。
雨よけの毛皮に使えそうだ。
「さてと、ここにいると厄しか降ってこないみたいですし、行きますか」
「おーい、坊主!」
リュックを背負って踏み出しかけたとき、獣が現れた茂みから、今度はがっしりした体格の男が出てきた。
その後ろから、2人の青年がついてくる。
3人共、猟師の格好をしていた。
「ぼくですか」
辺りをキョロキョロ見回して、少年は自分を指さす。
飽きれたように男が言った。
「おまえさんしかいねぇだろ。
ここいらでスダックを見なかったか。
こっちに逃げてきたはずなんだが」
「すだっく?」
聞いたことのない言葉に少年は首をかしげ、もしかしたらと、垂れ耳の獣を示した。