私の意地悪な旦那様

»莉乃


潤と相川さんが出て行く音がした後、無言の時間が流れる。

何も話さない功希に少しびくびくしながらも、散らかったテーブルを片付ける。


そして、ビール缶をゴミ箱に捨てたとき、不意に後ろから首元へと腕が回ってきた。



「功希………さん?」


それでも何も喋らない功希の方を向く。

回された腕を掴みながら顔だけ振り向けば、何度も啄むようなキスをされた。


「……もう俺がいないときに酒飲まないって約束して」

「………わ、かった…」


怒っている、というよりは心配そうな顔をしている功希を見て少し反省する。

軽く酸欠状態なまま頷けば、するりと回されていた腕が解けた。


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