私の意地悪な旦那様
「あら、あなたは?」
がちゃり、と鍵の開いた家から出てきたのは綺麗な女の人。
卒業したての私とは違う大人な雰囲気を身にまとったその女の人は、私を見るなり部屋へと声をかけた。
「織部君、お客さん来たわよ」
衝撃で声が出ない私に気付かずに、勝手を知っているかのように部屋の奥へと私を誘導しようとする女の人。
「……ん、誰?」
かすれた先輩の声を聞いた瞬間、私は慌ててその場から逃げ出した。