私の意地悪な旦那様
「ほんと、どれだけ人を心配させれば気が済むの?もしわざとやってんなら本気で怒るよ」
むっとした先輩に再び謝る。
けれども、心配、という言葉に気付いた私は先輩の方を真っ直ぐに向いた。
「バカ………」
そっと頬に手を伸ばし、痛いぐらいに何度もなぞる先輩。
「そんな隙だらけだから、あんなのに良いようにされるんだよ」
少し遠くで、パンッと大きく花火の音が鳴る。
でも、先輩からは目を離せなくて。
近づいてくる先輩の胸元をぎゅっと握って、目を瞑る。
その日私は初めて先輩と、キスをしたのだ。