戦乙女と紅~東方同盟の章~
「え…」

おとなしいエレナの口から出た言葉に、私は凍りつく。

「ころしたの…?」

何もかもを見透かすような、純真な眼差し。

その眼差しの直視に耐え切れず、目をそらそうか迷った時。

「ばかだなエレナ!」

カイトが口を挟んだ。

「おとめは、わるものをみんなやっつけたんだよ!けんで、ズバーッて」

「でも」

不安そうな表情をするエレナ。

「けんできったら、しんじゃうんでしょ?パパいってたもん」

「…う~ん?」

難しい顔になるカイト。

少し考えていたが、自分では答えを出せなくなったのか、私の顔をまじまじと見る。

「どうなんだ?おとめ」

「おとめねえね?」

二人の幼い兄妹は、私を見つめる。

どんな虚言も方便も、この純真な眼差しの前では通用しそうにない。

…なんと答えればいい?

私は…カイト達に何と話せばいい…?

答えに窮していると。

「あ!」

突然カイトが声を上げた。

…午後三時の鐘の音が、近くの時計塔から聞こえてきた。


< 5 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop