別冊 当て馬ならし
黒の髪を片方に流し
眼鏡はいつもの銀でなく
深い青と黒のフレーム
青いシャツに大きな宝石のついた
リボンタイをさりげなく着こなし

黒の燕尾服には
銀色の飾りチェーンが付いている
大人しい色のコーディネイトなのに・・
眩しすぎて、くらくらした。

眼鏡の奥の夜色の瞳が
私を映してふんわり微笑んだ
この笑顔を見るたび
私はこの人に惹かれて行ったんだって
いまならわかる。

ラル・・・私の愛しい王子様

差し出された手に手を重ねる
エスコートされながら
進行方向をみなきゃいけないのに・・・

その瞳から目が離せない。

こんなかっこいい人が・・・
私の想い人なんて。

最初の晩餐会で彼がふてぶてしく
椅子に座って姫達に
猜疑心たっぷりの目で睨んでくれて
よかったって思った。

だって・・・・こんな、
こんなにカッコいいって
わかっちゃってたら
それこそ、もう私が
こんな風になる事が
出来なかったかもしれない。
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