別冊 当て馬ならし

第三話 恋心の前にベルは迷う?

歳を重ねるごとに募る想い・・・
何度も泣いて慰められて・・・

そしてあたしは成長してきたと思う。

だから、解ってしまった。

私が好きって事は、
一生、その人と添い遂げるって事は
つまり・・・

王にするという事だ。

その相手に、あたしではなく
この国・・・つまりファルゴアを
背負わせるという事だ。

この鍛冶屋として将来有望な青年の未来を
強制的に変えてしまう事になるんだ・・・

「あはは、これまたうまいなぁー」
あたしの作ったお弁当を食べながら
セルヴァンは笑った。

今朝早くから起きて
お城のコックに教わりながら
一生懸命作った。

鍛冶屋の仕事の合間だがら
味付けは濃くしてある。
自分でも会心の出来だった。

作業場の裏手、
少し開けた丘になっている場所で
お弁当を挟んで地面に
布を敷いて座る
「前より確実に
 上手くなってるでしょ?」
得意顔の私を横目でみて
クスって感じで笑って頷き
セルヴァンは次のおかずに手を伸ばす。
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