甘い唇は何を囁くか
第12章 「Fate…」
宗眞は、ストンとシスカの隣に腰を据えるとう~んと唸って背伸びした。

「さてと、じゃあまず何から話そうか。」

そう口を開いてポケットから煙草を取り出す。

そして、シスカの許可をえぬまま深く吸い込んだ。

ふう~と吐き出して、それからシスカを見遣った。

「あ、悪い。」

シスカの冷ややかな視線に、とりあえず頭を下げたが着いた火は消さずに、そのままもう一口吸い込んだ。

「さっき、俺が言ったこと、まずはそれからだよな。」

当然だ。と、シスカは冷たく答えた。

「あんたが、遼子に本気になるのがマズイっての。あれはさ、運命だから―なんだよな。」

・・・

こいつもそれを言うのか…。

運命…。

「一言に運命っつっても、人間が言う「運命感じちゃった~」みたいな軽~いのじゃなくってさ、魂の片割れっての、つまり運命共同体・・・ん~こいつが死んだら俺も死ぬ、みたいなさ、そういう強い運命(さだめ)のことなんだけど。」

シスカは小さく頷いた。

「ヴァンパイアはさ、一度だけ人間の女にその運命を感じることがあるんだ。それはヴァンパイアなら誰でも、で、そのさだめには決して逆らうことはできないわけ。」

宗眞は煙草の火を階段に押し付けると言葉を続けた。

「んで、一生に一度だけ、俺らは人間を仲間に変えることができるんだけど、その運命の相手にしかその能力は働かないんだよ。そんでもって、その女・・・あ、遼子を仲間に変えたら、遼子はあんたを忘れちゃうの。んでもって仲間になっちゃうってわけ。あ、それから、あんたは年をくうようになる。」

シスカは呆然とその言葉を聴いていた。

あまりにも、唐突な話で、信じがたい。

自分が、仲間に変えることができるのは自分がたった一人、愛した女だけで、その女を仲間に変えると女は俺を忘れて・・・俺が年をとるようになる・・・?

「それは・・・本当か?」

「マジマジ。俺も俺を愛しちゃった女から聞いたから間違いなく事実だよ。」

・・・

宗眞が何気なく言った言葉を、シスカは思い返した。

俺を愛した女―。

それは、つまり自分が人間であった時に出会ったヴァンパイアの女のことで・・・その女と愛し合っていた―と、そういうことではないのか・・・?

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