甘い唇は何を囁くか
何百年過ぎても

覚えていることがある

それはー

シスカがまだ人間であった頃の記憶…

1人の女と…

愛しあい、激しく求め合った…

泣きながら

女が言う

私をーー忘れないでーー

ヴァンパイアになり、全ては幸福な夢であったに違いないと、そう思っていた。

シスカは女の顔も声も…覚えていなかったからー。

だが…

宗眞の言うことが事実ならば…あれは…。

「あの…女が…」

「何、遼子の前に愛した女がヴァンパイアだったかもーって?」

シスカはぴくりと肩を揺らして宗眞を見やった。

「かも、じゃなくて間違いないだろ。あんた、それでヴァンパイアに変えられてんだから。」
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