甘美な蜜のプワゾン
☆two★
電車に30分乗り、片道を1時間かけて登校する。

艶やかな髪を靡かせ、蘭はいつもと同じように1人で教室に入った。

すると、一瞬静まり返る教室内。
けれども直ぐに音は復活する。

復活するが、誰もが意識を蘭に向けている。

窓際の席に座り、外を眺めている間もクラスメイトの関心は蘭にあった。

関わる事は避けるくせに、無視出来ない存在。

綺麗な人間の宿命とも言えるのか、これもいつもの事だった。

そして心配だった昨日の失恋(こと)。

こそこそ話が聞こえない事から、噂にはなっていないようだ。

それに隼人とはクラスも違うため、頻繁に顔を合わすことがないのも幸いと言えた。

隼人と太郎の気遣いなのか、2人が黙ってくれていたことに蘭は感謝した。
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