ヴァンタン・二十歳の誕生日
 でも何故雅がジョーなのかと言うと……


きっかけは雅が髪をバッサリ切って来たことに始まる。

誰かが、若草物語のジョーみたいだと言ったからだった。

毛先の一本一本まで神経の行き届いた、キラキラ輝くロングヘアーが自慢だった雅。

まさかのショートにみんな驚いたってことだ。
それがきっかけで、話が盛り上がって……


偶々四人。
兄弟……
ううん、姉妹以上に仲良しの女子会メンバー……

って訳で、若草物語の会を結成した訳なのだ。

ジョーはさて置き。
一番年下の私は、エイミーになった。

勿論メグもベスもいる。


後で本音を聞いたら、手入れが面倒になったからだと言っていた。

簡単にポニーテールが出来る、私が羨ましいとも言っていた。


女の子の髪の毛の悩みは尽きない。

実は雅は超癖っ毛で、ストレートパーマが欠かせなかったのだ。


今度はその癖っ毛を生かした、ラブリーガールを目指すと宣言した。


うん、それってバッチリ。
雅……
違った、ジョーらしい。




 それでも雅はカラーリングだけはしなかった。

何時だったか、その理由を尋ねたら……


実は雅のお母さんは年の割には髪が黒く、白髪も余り生えて居なかった。
でも試しに白髪染をしてみたら、分け目の根元が白くなったらしい。
それ以来髪を染めなくてはいけなくなったそうだ。


だから私もカラーリングする時は、間違っても白髪染めだけはしないでおこうと誓った。


でもどうしてエイミーだけそのままなんだろう?

ベスはエリザベス。
ジョーはジョセフィン。
メグはマーガレットと言う名前があるのに。
エイミーだけはエイミーなんて……

なんかおかしい。




 『あっそう言えば、時間言ってなかったね』


「私達何を話していたんだろうね」
私は頭の中でアレコレ整理してみた。
でも結局答えはなかった。

くだらない話と母は言う。

でも私達にとっては大事な話なのだ。

例え、話の終えた後何も内容を覚えてなくても……


『確か、夜七時に予約したと聞いたけど』


「あ、ありがとう。必ず行から、メグとベスによろしくね」

私は電源を切ろうとしたのに雅が又話出す。

邪険にする訳いかなくて、私も又話出す。

傍では母の膨れ顔。

私はいたたまれなくなって電源をそのままにしてやっと携帯を畳んだ。




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