よりみち喫茶
「よかった……」
思わず素で喜びを呟いてしまうと、その人は顔を上げてニッコリと笑みを浮かべた。
その品のいい笑顔に、わたしはほんの少しの違和感を覚える。
それは本当にほんの少しのことで、勘違いだと言われてしまえばそれまでのような感覚だったけれど、一度気になってしまうと、口のあたりがむずむずして何だか落ち着かない。
しばらくは、その人が静かにカップを傾けるのを眺めていたが、ほどなく我慢できなくなって口を開いた。
「もし差し支えなければ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
カップから口を離して顔を上げたその人が、「はい、なんでしょう」と穏やかに笑う。
その笑顔は、見れば見るほど違和感だらけで、続く言葉は躊躇なく出てきた。
「何か、悩んでいることがありませんか」
一瞬だけ、ハッと見開かれた目は、しかし直ぐに笑顔へと変わる。
「そんな風に、見えましたか?」