甘い恋飯は残業後に


「そしてそれが、俺の一番悪いところなんだろうな」

恐る恐る難波さんの方を見ると、驚くことにこちらを向いて薄く笑みを浮かべていた。
意外な状況に、動揺する。

――てっきり、わたしに腹を立てていると思ったのに。


「だが俺はけっして、周りを信用していない訳じゃない」

難波さんは硬い表情に戻り、真正面にある厨房の方に顔を向ける。

「『Caro』はメディアへの露出も増えた今が一番の踏ん張り時だ。俺が直接手助けしなければならないこともまだまだあると思っている」

「だから」と続けながら、彼は真っ直ぐわたしを見据えた。

「この仕事はこの課、この仕事はこの課、と全てを事務的に線引きせず、『Caro』の発展の為に桑原も力を貸してくれないか」


何だかうまく丸め込まれたような気もするけど、難波さんの言うことも確かに一理ある。

全て事務的では、モリヤと何もかわらない。組織的に仕方がない部分もあったとはいえ、わたしもそういうモリヤの体質はあまり好きではなかった。


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