甘い恋飯は残業後に


こんなにあっさりこちらの言い分が受け入れられると、何か裏があるんじゃないかと変に勘ぐりたくもなってくる。

難波さんの顔が、何か企んでいるように見えなくもないし……。


「……だが」

ほら、思ったとおり。

「明日のヘルプは、予定通りで頼む」

「……え?」

「なんだよ、それも不服だっていうのか?」

「あ、いえ、そういう訳じゃ……」


もっと大変な交換条件を出されるかと思っていた。巡回の日は『Caro』で働け、とか。
あまりに簡単なことで、ちょっと拍子抜けする。

「わかりました」と返答すると、隣からふ、と笑ったのか息を吐いたのかわからない、小さな声が聞こえた。



「ところで、桑原の目の前にあるのはなんだ?」

「え? これですか? 洋風モツ煮、ですけど……」

「そんなの、この店のメニューにあったか?」

……あれ? 美桜ちゃんの話だと、叔父さんはほとんどの常連さんにこれを出していたようだけど……。


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