甘い恋飯は残業後に
●レモンライムハニー


* * *


目覚まし時計のアラーム音が、いつもより三十分早い時刻を告げた。

欠伸をしながら上体を起こし、ベッド脇に置いているチョコマシュマロをひとつ口に放り込む。噛むと中のチョコがとろりと口の中に溶け出てきた。気温も上がってきたし、そろそろこれも冷蔵庫に入れなきゃいけないかも。


わたしが三十分早く起きたのは、難波さんに「遅刻するなよ」と言われたからではなく、あるものを作ろうと思い立ったからだ。

パジャマのままでキッチンへ行き、いつも作り置いているレモンの蜂蜜漬けの瓶を冷蔵庫から取り出す。
うん、漬かり具合はちょうどいい感じ。


これには今まで、風邪の時や疲れた時に随分とお世話になった。

わたしは小さい頃から喉が弱く、風邪を引く時はきまって喉から痛くなる。それを聞いた母方の祖母が、「喉に効くよ」とこの蜂蜜漬けのレシピを教えてくれたのだ。喉が弱いのは、祖母からの隔世遺伝だったらしい。


「さて、と」

ゆうべのうちに棚の奥から発掘して洗っておいたウォーターボトルに瓶の中身をスプーンですくって入れ、ライムを絞ったものとミネラルウォーター、それにちょっとだけ蜂蜜を足してかき混ぜた。

漬けたのをそのまま食べるのもおいしいけど、暑い時にはこうしてドリンクにした方がいい。

「……よし」

今日もちゃんと“合格の味”だ。


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