あたしの好きな人
すると突然、稜が真剣な顔になって
「……へ」
顔を近づけてきた。
え?
顔を……
近づけてきた!?
ど、ど、どうしたら!?
鼻がくっついて、もうキスしてしまうのではないかという寸前で、瞑っていた稜の目が開いた。
「……抵抗しねぇなら、キスするけど」
「……え。ええっ!?」
「なーんてな」
「な、何それ……」
今すっごくドキドキしたんだからね?!
今のドキドキ返してよ!
「もう…」
本当に心臓に悪いよ。
「これでも我慢したほうなんだから」
「まぁ、そうかもしれないけど…」
稜のことだからそれは大いにわかる。
だって、あたしが稜と初めてあった時、稜はケバ女とキスしてたんだから。
それに普段の態度も、前はすごく女癖悪かった気がする。
たげどさぁ…
「キス…しちゃうのかと思ったじゃん」
ドアップの稜の整った顔を思い出して、今更顔が熱くなる。
「ったく、可愛すぎだバカ。どんだけ好きにさせんだよ」
「稜が悪いんじゃん」
「これは日常的行為だろうが」
「稜は慣れててもあたしは…」
「あのさ……好きな女と他の女とでは違うの。分かる?」
分かるわけないよそんなこと…
「俺だって余裕ねぇんだよ。いい加減気付けバカヤロウ」
さっきから地味にバカって貶してくるのはほっといて。
稜が余裕ないなんて、初めて知ってちょっとビックリ。