あたしの好きな人
「俺さ中学ん頃、プロのサッカー選手になるのが夢だった。」
「なんか素敵だね」
「…そーか?…でも、俺の親父はそんな夢見てぇなこと叶うわけないって、サッカーなんかしてねーで勉強しろって、強要した」
強要…なんて
「でもさ、そんなのわかんねーじゃん?」
「…うん」
「だから、親父に反抗してサッカーし続けた。そしたら…何したと思う?」
「……なに、したの?」
「俺からサッカー奪い取った。ボールとかスパイクとかユニフォームとか…全部。通ってたクラブにも電話して、教えてもらえなくなった。」
桃夜は、仰向けになったまま、片腕で顔を隠す。
「もう反抗する気にもなんなかった。中学生の身分じゃ、自分だけで何もできなかったし。…なんか、バカみてぇだなーって」
「…あの時、…バーベキューした時、あたしにあんな事言ったのは…そのせい?」
“夢ばっかみてダセェんだよ”
桃夜が言った言葉。
…今なら、桃夜の気持ちもわかる。
「結斗のこと嫌いになれ、なんて言って悪かった」
「……許してやる」
「なんだそれ」
桃夜がくすっと笑う
ちょっと嬉しかった。
桃夜があたしに話してくれたこと。
今、ちょっと素直になってくれたこと。