薬指の約束は社内秘で
やっぱり私って、相当諦めが悪い女だよね。
もう一度重たいため息をつくと、「ねぇねぇ」と右腕が下から引かれる。


「そういうわけだから、俺達もう行くね」

「あっ、そう? 暗いから気を付けて帰ってね」

踵を返した二つの背中に手を振ると、くるりと反転した二人は呆れた顔を見せた。


「何言ってんだよっ、これから絶景スポットに行くの! 姉ちゃんの代りに慰めに行くんだろ!!」

あっちゃんの言葉にもう一人の彼も、「そうだよー」大きく頷く。


私の代りに慰めに行く? 絶景スポットに。ゼッケイスポットニ……。

心で呟くと一瞬頭が白くなって、彼らの言葉を理解するのに数秒かかる。
鼓動だけが静かに脈打ち、「じゃぁね!」と手を振って走り出した彼らを「待って」と呼び止めた。

思わぬところから出てきた彼の陰に、何か言いたいのに上手く言葉が出てこない。
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