薬指の約束は社内秘で
立ち尽くすだけの私の肩がぽんと軽く叩かれて、私を追い越した瑞樹が二人に歩み寄って行った。

「慰めに行くって、誰を?」

彼らと目線を合わせるようにしゃがんだ瑞樹の問いかけに、「名前は知らない」とあっちゃんが首を振る。

「そっか。じゃぁ、どんな人か教えてくれる?」

「えぇ。どんな人って言ったら」

うーんと困ったように唸った二人から、「あっ!」と明るい声があがる。
ニヤリと口角を引き上げた二人が私を振り返り、木々のざわめきに乗った二人の声が鼓膜まで響いた。


「水ヨーヨーは下手くそで、射的はうまい兄ちゃん!」

その言葉に呆然と二人の顔を見つめ返す。
余裕のない鼓動がドクンッと一際高鳴り、加速を遂げる。微かに震える唇を固く結ぶのが精一杯だった。

「なんだぁ? 狐に突っつかれたみたいな顔して」

「うーん。それを言うなら、狐につままれるかな」

あっちゃんの間違いを優しく言い直す瑞樹の声もどこか遠くて——
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