薬指の約束は社内秘で
彼がくれた言葉を繋ぎ合せた『答え』は、信じがたいものだった。
でも、何度頭を振っても同じところに辿り着いてしまう。


一昨日の夜、葛城さんとあの場所で会って、そのあと彼の車で家まで送ってもらった。

葛城さんに話を聞けば『答え』は簡単に分かると思った。でも、それよりも先に、愛美と直接会って話さなきゃいけないと思った。


重い足取りで愛美のマンションに辿り着く。
私が訪ねてきた本当の理由を知らない彼女は、お土産であげたお茶を啜りながら小さく笑った。


「やっぱりお茶は、高良町のが一番よね」

テーブルに両肘をついた楽しげな笑みに曖昧に笑って返すと、愛美は葛城さんに作ったというハーブティーの話をし始めた。

「彼がね。私が作ったハーブティーを気に入っちゃって。最近はそればっかりなの」
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