薬指の約束は社内秘で
「それまでの優生は父親が瀬戸の家を出て行ったこともあって、どこか俺にも遠慮がちで、性格も内向的だったんだよね。

でも喧嘩の相手には、俺は悪くないってすげぇ勢いで怒ってさ。その頃からかな、性格も明るくなって友達もできるようになった。

知りたかったんだ。何が優生をそんなに変えたのかって『ふじかわあい』って子は、どんな魔法をかけたんだろうって。でも愛から話を聞いて分かった。

自分には心から信じられる人がいる。そう思うことで強くなれたんだなって」


そしてずっと頭にあった名前が会社説明会の帰りに拾った定期入れにあって、思わず私に声を掛けてしまったという。

淡々と語る瑞樹の声がそこで一度途切れて、彼の瞳が私をまっすぐ見つめた。


「だから、初めはそんな興味があって愛に近づいた。でも、いつの間にか本気で好きになって本当のことが言えなくなった。本当に、ごめん」
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