叙情
家に帰ってないどころか
学校にも行ってないわけだし

もしかしたら
家でも学校でも大騒ぎで
警察とかに相談してる可能性もあるわけで。


・・・でも、

もし、お母さんに会ったら・・・


もう、ここには・・・・


そう考えると・・・


男の言う通りに頷く事はできない。


そんな私の隣に座り


「元気なツラだけ見せて
さっさと
ここに超特急で走って帰って来い。な?」


そう言いながら
頭に手を置き
私の顔を覗き込んでいるこの男は


この男は・・・


この男、ズルイ。本当・・・


子供をあやす様に、頭なんか撫でて・・・

泣きそうな私の顔に
すべて見透かしたような表情で
笑いかけてるその顔・・・・



「ここに戻ってきてもいい?」


「あぁ、戻ってきてもらわねぇと
俺の暇つぶしがいねぇだろ?」


「何それ・・・最低」


「最低でも何でもいいから
さっさ行って、さっさと帰って来いよ」


「うん・・・・」


もう、頷くしかできないじゃん。
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